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ちびドラマーチ

神奈川在住の1児の母です。妊娠期間の半分以上、本気で苦しんだつわりのこと。子育てのこと。大好きなドラマのレビュー書いています。

椰月美智子『明日の食卓』/子供へのイライラ、暴力の衝動を止められますか?

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『明日の食卓』わが子へのイライラを題材にした衝撃作

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photo credit: danigutib Pure love via photopin (license)

 

椰月美智子さんの小説『明日の食卓』を読みました。(2016/8/31初版)

偶然見ていた王様のブランチで紹介されていて、1歳の娘を持つ私にとってそのあまりに衝撃的な内容にこれは読みたいとすぐに購入し読み始めました。

ニュースでも耳にすることの多い児童虐待、自分には全く関係のないことと思って過ごしてきましたが、その入り口は親ならば誰もが経験するようなわが子へのイライラにあるとこの本は訴えています。

内容が内容なので万人におすすめ出来るかといえば正直そうではありませんが、子を持つ親としては読んでかなり考えさせられるものがありました。

子供を持つお母さんだけでなく、是非ともお父さんには読んでもらいたいです。

以下、重要な部分はネタバレしないように書きます。しかし多少は踏み込んでいますので全く知りたくない方はあらすじ以降お気を付けください。

あらすじ

『明日の食卓』には3人の子持ち女性が登場します。いずれも「石橋ユウ」という小学校3年生を育てる母親です。

  • 石橋 あすみ(36)静岡在住・専業主婦
  • 石橋 留美子(43)神奈川在住・フリーライター
  • 石橋 加奈(30)大阪在住・シングルマザー

この3人はお互い面識も無ければ「石橋ユウ」という同姓同名の息子を育てているという以外の共通点はほとんどありません。また物語の中で3人が関わっていくということもありません。

3人それぞれの視点からそれぞれの家庭を描いた小説です。

しかしこの小説の凄いところは初めの一ページ目が、ある母親が息子である「ユウ」を虐待して手にかけてしまうシーンから始まるところです。

本の帯にはこう書いてあります。

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息子を殺したのはですか?

同じ名前の男の子を育てる3人の母親たち。

愛する我が子に手を上げたのは誰かー。

どこにでもある家庭の闇を描いた、衝撃の物語。

幸せそうに見える3人の母親たちですが、物語が進むにつれて子供へのイライラから暴力への衝動に駆られていきます。

一体誰が息子の「ユウ」を?というのは分からないまま進んでいくのでぐいぐい話の中に引き込まれていきます。

石橋 あすみ(36)専業主婦 息子・優

あすみは夫である太一の実家のある静岡に引っ越して来たばかりの専業主婦です。

実家を綺麗に改装したり、同じ敷地内に住む義母が地主だったりとある程度裕福な暮らしをしているようです。

夫の太一との関係も良好で結婚記念日には家族で軽井沢に旅行に行ったり、朝の見送りの際にはスキンシップを欠かさないなど羨ましいほどの幸せ家族っぷり!

息子の優は体系こそ小柄なものの、クラスでは一目置かれるほどの優等生で中学からは一貫校の私立にいれようと考えているほどです。家でもとても良い子で家族思いな男の子です。

石橋 留美子(43)フリーライター 息子・悠宇

留美子はフリーライターですが出産以降は育児に追われ開店休業状態です。

小3の悠宇と小学1の巧巳の兄弟を育てています。夫の豊はフリーのカメラマンでファッション雑誌の仕事をするなど順調な様子です。

元気で活発な兄弟に振り回される日々ですが、しっかり者の留美子はソツなくこなしているようにも見えます。本当に凄いわんぱく兄弟です。本当に凄いです!!!

兄弟とのドタバタな日常を面白おかしく「鬼ハハ&アホ男児diary」というブログで書いており、中々の人気ブログのようです。

石橋 加奈(30)シングルマザー 息子・勇

加奈は若くして職場の男性とデキちゃった結婚しました。

しかし夫はすぐに別の女性と浮気し、本気になったと言って家を出ていきます。(慰謝料も養育費もなし)

幼い勇を抱えて加奈は必死に働いています。朝はコンビニ、昼は工場、そして夜はまたコンビニというように休む間もなく働き勇を育てています。

そんな加奈を見てか勇は母親思いの優しい子に育ち家の手伝いをしたり、まだ幼いのにわがままは言いません。

母親のイライラを真正面から浴びせられた気分になる

私の娘はまだ一歳ですが、育児をしているとイライラする場面はもちろんあります。

夜中に何度も起きて授乳をせがまれる、せっかく作ったご飯をいらないと食べずひっくり返す、原因不明のまま泣き続ける(何をしてもダメ)など、いつもは可愛くて大切な娘ですがイライラは突然やってきます。

「相手は子供だ、まだ一歳だ」

そう思っていても心のどこからかカーッと湧き上がってくる怒りにも似たイライラがあります。しかし、それを抑え心の中にしまい娘と向き合う日々です。

一歳でこれなら二歳のイヤイヤ期や反抗期などはどうなってしまうのかと怖くなります。

この本を読むとそんな母親のイライラを真正面から浴びせられた気分になりました。本の中の母親達が怒りをおぼえイライラする様子を客観的に見つめる私の心は何故か落ち着いていて、自分の中にもこんな感情あるなぁ・・・と冷静になります。

親なら、母親ならだれもが共感できる部分がこの本には必ずあると思います。

母親をイライラさせるのは子供と夫である

子供へのイライラだけでなく、夫に対する怒りや憤り、そして落胆が非常に丁寧に描かれているなぁと思いました。

普段はお互いが少しづつ我慢することで家庭がうまくいきますが、何か事件が起きたり問題が起きたりした時にサッと逃げて自分は関係ない、母親がどうにかしろという態度を夫がとるとたちまち家庭は崩壊に向かいます。

母親一人に子供の全てを押し付けてはいけない。

良い時だけでなく悪い時こそ家族でいなければならない。

改めて自分の想像力を働かせること、パートナーのキャパを理解しようとすることは大事なのだと思いました。

イライラから湧き上がるどす黒い感情と暴力への衝動

みなさん、イライラや怒りからどす黒い感情が湧き上がってきたことはありますか?

私はあります。

そう何回もないですが、親や旦那とケンカした時にぶわーーーっと体の中から怒りが満ちて来て物に当たったりしてしまったことはあります。親も旦那も大好きだけど、一緒に暮らしているとどうしてもそういうことはあります。

しかしまだ人を殴ったり、本気で叩いたりという経験はありません。殴りたいと思ったこともありません。

誰にでもある(か分からないけど)このような感情から暴力へと発展していくのは何がきっかけなのでしょうか?

人間も動物ですから暴力への衝動は誰もが持っているのかもしれません。それを止められるかどうかは、本人の意思や性格もさることながら周りの環境というのも多い気がします。

暴力など自分には関係ないと目をそらすのではなく、自分の心と向き合ったりパートナーを想うことが防止の一歩に繋がるのかもしれません。

感想とまとめ

正直、一ページ目の母親が「ユウ」を手にかけるシーンは心の中がザワザワしてドキドキが止まりませんでした。

昨今は虐待のニュースも多く、それを聞くたびに胸を痛めていますがもしかしたらその暴力の入り口はイライラの蓄積にあるのではないかと考えて背筋が寒くなります。

子育てをしていると、どうしても自分の時間がとれない、トイレもゆっくり入れない、予定通りに進まないなどイライラから逃げることは出来ません。

正直に自分の気持ちを夫に話したり、家族に助けを求めたり、自分からSOSを発信することが必要だと思います。

またお互いがパートナーの気持ちを察するというのも難しいけどすごく重要なことだと感じました。

 

 

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