【白ゆき姫殺人事件とは】
湊かなえによる小説で、わたしが見たのはこの映画版です。
『告白』などの原作者・湊かなえの小説を基に、美人OLの殺害容疑を掛けられた女性をめぐって人間の悪意を浮き彫りにしていくサスペンスドラマ。報道によって浮かび上がる容疑者像をきっかけに、インターネット上での匿名の中傷やマスコミの暴走など現代社会の闇が描かれる。監督は、『ゴールデンスランバー』などの中村義洋。容疑者である地味なOLを井上真央が熱演。テレビディレクター役の綾野剛のほか、菜々緒、貫地谷しほりらが共演する。容疑者がいかなる結末をたどるのか最後まで目が離せない。解説・あらすじ – 白ゆき姫殺人事件 – 作品 – Yahoo!映画より引用
原作では架空のSNSだが映画版ではTwitterに変更されています。
映画で赤星が使っていたアカウントです。本当に映画のままなので、見てみると面白いですよ。
原作の小説はこちらです
登場人物ほぼ全員がウソツキ
赤星雄治(綾野剛)
映像制作会社契約社員。
友人の里沙子から事件のことを聞き、ネタになるかもと事件について調べて番組にしてしまう。これがヒットし上司から評価を得ることで、行動はさらにエスカレートする。
事件について分かったことをリアルタイムでTwitterにつぶやきまくるという調子に乗りまくりな男。最終的には自分もネット上で晒され叩かれるハメに。
城野美姫(井上真央)
日の出化粧品社員。
とにかく地味。赤毛のアンに憧れて夢見がちなところがある。三木典子とは同期だが、世渡り下手なせいで目を付けられいじめられてしまう。
赤星の作った番組や彼のつぶやきのせいで、Twitterに犯人ではないかと個人情報が流出。誹謗中傷を浴びることになる。
三木典子(菜々緒)
日の出化粧品社員。事件の被害者。
美人で性格も良くて社内の憧れ的存在というのが表向きの評価。しかし、実はプライドがかなり高くまわりを見下している。
何でも自分の思い通りになると思っているが、何者かによって命を奪われてしまう。
狩野里沙子(蓮彿美沙子)
日の出化粧品社員。典子のパートナー。
こいつも地味。むしろこの子の方が地味な気がする。友人である赤星に事件で事情聴取を受けたことを電話で話す。これが、赤星が事件のことを調べ始めた発端である。
赤星に対して、典子の事を美人で面倒見の良い先輩だと話すが全くのウソ。本当は典子にいびられていた1人である。
篠山聡史(金子ノブアキ)
日の出化粧品社員。
赤星に美姫に付きまとわれていて迷惑だったと証言するがウソ。
実際は、美姫にお弁当を作ってもらい、その美味しさからまた作ってほしいと頼んでいた。気があるそぶりを見せ、美姫とは深い仲になっている。その後、典子に言い寄られて美姫をあっさりと捨て典子に乗り換えるがすぐに振られる。
前谷みのり(谷村美月)
城野美姫の大学時代の親友。
美姫から篠山聡史との相談を受けていた。大学時代に、テンちゃんと呼んでいた美姫に先を越されてしまった嫉妬心からかTwitterで美姫の本名や篠山とのやり取りを暴露してしまう。(赤星ですら出してなかったのに)
親友だと思っていたが実は親友ではなかった。美姫のことを下に見ていたんでしょう。
谷村夕子(貫地谷しほり)
城野美姫の小学校時代の親友。
子供時代は学校いちの美人と言われていたが、名前のせいでいじめられてしまう。優しくしてくれたのが城野美姫で、2人は大の仲良しだったがある事件のせいで現在は疎遠になっている。
「ギルバートと呼ばれたかった」との発言から美姫のことが好きだったのかもしれない。Twitterで美姫を庇うような発言や赤星に対して牽制するような発言をする。
「白ゆき姫殺人事件」を被害者と容疑者の周辺から読み解く
しぐれ谷の雑木林で遺体が発見されたことから物語は始まります。赤星は友人の狩野理沙子から事情聴取を受けたと連絡をもらい、独自にこの事件を調べていきます。
主に被害者の周辺をインタビューする形をとりますが、すぐに怪しい人物を見つけることになりました。それが、被害者の同僚である城野美姫です。事件直後から行方不明になっている彼女、一人が怪しいと言えば口を揃えたように何人もが怪しいと証言し、ネットでは城野美姫の情報が流出してしまう。これは赤星が独自取材をもとにテレビ番組を制作してしまったというのも大きく影響しています。
さも、彼女が犯人であるかのようなネットの書き込みの数々。テレビの報道も偏っていてる。リアルでもよく見る風景だ。
慣れや刷り込みというものは恐ろしく、わたしも城野美姫が犯人だというような気持ちで見ていました。
あれ?回想シーンが同じ場面でも人によって違うぞ
事件前日に、三木典子を車に乗せるところを目撃されていた城野美姫。そして、事件後には失踪していて会社にも来ていません。まわりの証言からも、彼女が犯人だという意見が多い。これだけ怪しいとなると犯人は城野美姫で間違いなさそうだが、わたしは回想シーンで違和感を覚える。
そう、話す人によって回想シーンが微妙に異なっているのだ。
事件前日の居酒屋のシーン、三木典子が車に乗り込むシーン、少しだが登場人物の動きや会話の内容が異なっていたのです。少し考えればすぐに分かる事でした。これは赤星が周囲の人間にインタビューしてそれを元にした回想シーンだからです。
事実ではない。人の記憶だからだ。
人間の記憶というのは曖昧で、都合のいいようにすぐに書き換えられる。そして、ウソを付くことも簡単だ。
はい、でたー!菜々緒の悪女!そんでお前が犯人かよ!
菜々緒演じる三木典子は最初は非の打ちどころのない美人で、後輩の面倒見も良いというような描写でした。しかし、物語が進むにつれ暴かれていくこの性格の悪さ。もはや、菜々緒=悪女という図式がしっくりくるほどのゲスぶりです。
皆が三木典子を美人だと称賛する中、ひとり賛同しなかった城野美姫が気に入らずロックオン!彼氏、お気に入りのミュージシャンなど次々と奪っていきました。
普通は賛同するよね、あの場面なら。思ってなくても。城野美姫は空気が読めない子だということが分かりやすいくらい伝わってきました。でも、実際にいるんですよね。悪気はないけど空気が読めなくて損している人。
そして、三木典子は人気者でも何でもありませんでした。
プライドが高く、周りの人間の上に立つことしか考えていないような女で周囲からも嫌われていました。
そんな三木典子によるストレスに苦しめられていたのは、後輩でパートナーの狩野里沙子です。退職した先輩や、城野美姫と同じようにネチネチやられていましたね。そのストレスから社員の私物や商品を盗むことを繰り返しており、それが三木典子にばれてしまいました。
三木典子から指摘を受け、バレたことに気づいた狩野里沙子。即、この思考に辿りつく。
やるしかねぇ。クビになる前にあいつを消すしかねぇ。
犯人は狩野里沙子
ライブのチケットを欲しがっていた城野美姫を利用し、三木典子を手にかけます。淡々とこなす彼女、もう普通の神経ではありません。恐ろしすぎるわ、こんな普通そうな子が犯人だなんて。
里沙子は、典子に傷つけられた美姫を使って犯行に及ぼうと考えました。
まず、体調が悪いという典子に眠くなりやすい薬を飲ませ、飲み会でもたくさんお酒を飲ませます。そして、美姫に車で典子を送るようにみせかけ眠った典子のバッグからチケットを奪うように指示しました。
典子は駅のコインパーキングに止められた車で眠ったまま取り残され、美姫はライブへと急ぎ東京へ特急で向かいます。
里沙子は眠った典子を乗せたまま美姫の車を運転し、しぐれ谷まで連れて行き犯行に及んだのです。
2人の姫、どっちにも同情出来ない
「白ゆき姫」というのは化粧品会社の主力商品である石鹸で、それになぞらえてネット上で「白ゆき姫殺人事件」と呼ばれていました。
名前が城野美姫、お城に住むお姫様といじられる地味な女と三木典子という普通の名前だが美人な姫のような女。この2人にかけていると思われます。
城野美姫という女
小学校時代から大人しく地味な性格だったが、クラスメートから苛められている谷村夕子と仲良くし励ますなど心優しい少女だった。「赤毛のアン」に憧れて、親友に自分のことを「アン」と呼ばせるなどの入れ込みようです。
中学に入ってからも夢見がちな性格は加速し、初恋の男子との都合の良い妄想をし言動までアン化していく。髪型も三つ編みでアンを意識していると思われる。
城野美姫がした行動
- 酔った三木典子を車に乗せる
- バッグからチケットを奪う
- 車をコインパーキングに止める
- 猛スピードで駅の階段を駆け上がる
- ライブ会場の階段で、人ごみに押されアーティストを突き飛ばす
- 謝りもせずにその場から逃げる
- ホテルに引きこもる
- SNSで自分への誹謗中傷を見て、容疑者になっていると気づく
- 遺書を書くが未遂で終わる
- 赤星を車で轢きそうになる
- 赤星に「良いことあるよ」と何故か上から目線で発言
運もない上に、人としてどうなの?っていう行動が多すぎる。
そもそも、犯人に利用されたとはいえ人のバッグから勝手にチケット奪うって、その経緯を知っていたとしてもまったく同情出来ません。後からどう説明するつもりだったのかこの女は。
そして、アーティストを故意ではないとはいえ突き落として大怪我させといて謝りもせずに逃げるという卑怯っぷりです。これは後に謝りに行ったのでしょうか?ここだけははっきりさせておいて欲しかったです。
三木典子から目を付けられなければ、チケットを奪わなければ、アーティストを突き飛ばさなければ・・・。不運が重なり、ネットの世界で容疑者になってしまった彼女。
三木典子という女
たまにいる、こういう女。すごく上手に他人を蹴落としながらのし上がっていく人ですね。自分が一番でないと気に入らず、人を見下して生きているので相当の恨みをかっていたのでしょう。
三木典子がした行動
- 同期の彼氏を奪う、そしてすぐに捨てる
- 後輩にわざと失敗させる
- みんなの前で後輩を上司からかばい良い先輩アピール
- みんなの前で後輩に名言を言って良い先輩アピール
- 先輩の服をパクリ自分が着こなす
- 同期の好きなミュージシャンを自分が発掘したかのようにマネする
- 同期の好きなミュージシャンと付き合う
- チケットを譲るふりをする
潔いまでのクズっぷり。他人の物はみんな欲しくなるタイプの女のようです。これは今までに相当色んなことやってますね。絶対にかかわりたくない女です。
短大卒のようで、大卒の後輩、狩野里沙子には学歴コンプレックスがあって辛くあたっていたのかのような描写がありました。どれも命を奪われるほどのことはしていませんが、これが積もりに積もって不正を見抜いてしまった事が決定打になってしまったようです。
感想のまとめ
本当は良い子なんだと昔の友達や家族がアピールする割には、そこまで良い子じゃない主人公、城野美姫に全く共感出来ないまま終わってしまいました。そして、昔の友達のエピソードは、いるのかいらないのかよく分かりません。
城野美姫を演じる井上真央が普通に可愛くて、菜々緒と並んでも別に引け目を感じないので微妙な違和感が・・・。そこまで地味か?と思ってしまうほどです。
ひとつ納得できないのが、犯人の狩野里沙子です。ちゃんと計画してから実行したのでしょうか?もし、城野美姫がアーティストを突き落として失踪しなければすぐにばれてしまうような計画です。これの意味が分かりません。城野美姫に証言されたら全てがおしまいじゃないのか。
原作は未読なので、その辺が書いてあるのなら読んでみたいです。
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